貴重資料

ホーム > 貴重資料 > 所蔵資料ピックアップ(植物研分館)

藩政資料
地方資料
医学系特殊コレクション(鹿田分館)
農学系特殊コレクション(植物研分館)
個人文庫
その他の貴重資料
大型コレクション
貴重資料を活用した教育普及活動
利用について

所蔵資料ピックアップ(植物研分館)

貴重資料の利用についてはこちらをご確認ください。

『本草綱目訳定(ほんぞうこうもくやくじょう)』 [小野蘭山述]
写本 向井易玄他筆写 18世紀後半

大原農書文庫(貴重資料)

江戸後期の本草家小野蘭山による『本草綱目』の講義をまとめたもの。
明 李時珍による『本草綱目』は成立後10年ほどで日本にも伝来。徳川家康に献上され、以後幕末に至るまで基本文献として尊重された。
蘭山は家塾の衆芳軒や江戸医学館で本草の講義を行い弟子は千人に及んだと言われる。蘭山による『本草綱目』の講義本としては『本草綱目啓蒙』が知られるが、本書は『本草綱目記聞』などと同様、蘭山の京都時代の講義本の一つと思われる。禽部・獣部を欠く。

本書には、「春木文庫」「伊勢春木房光松圃図書之記」との蔵書印があり、伊勢神宮外宮の権禰宜であった春木家の旧蔵本とわかる。春木房光の長男煥光は蘭山の弟子として知られ、本書の一部には筆写人として「根光(煥光の幼名)」の名が見える。


『広参存擬(こうじんぞんぎ)』 大槻玄沢著
文化7(1810)年頃成立 写本

大原農書文庫(貴重資料)

広東人参に関する考察をまとめた書。
後書きのうしろに、キンバイザサの彩色図とそれに関する手紙の内容が付随している。彩色図は栗本丹州によるもの。手紙は、丹州が玄沢に宛てたものの追伸部分と思われる。「キンバイザサの発見者は田村藍水(丹州の父)であり、和名の名付け親だ」と主張している。


『有用植物図説(ゆうようしょくぶつずせつ)』 明治24(1891)年
田中芳男・小野職愨撰、曲直瀬愛・小森頼信校、服部雪斎画

大原農書文庫(貴重資料)

農林水産、栽培、自生、庭園樹まで25類1,015図を載せる。 緻密な彩色図(木版画)に、漢字・カタカナ表記及び学名までが併記されている。


『農家徳用穂立手引草(のうかとくよう ほだちてびきぐさ)』
酔吟居主人著 篠原遷外画
文政11(1828)年 西成堂蔵版、江戸岡田屋嘉七等刊

大原農書文庫(貴重資料)

五穀や農事に関する故事を述べるとともに、穀類の栽培、特に選種について説いた書。「穂には雌穂と雄穂があり、良い雌穂を選んで種子を残す事が肝要」と説き、稲や麦についてその区別を図説している。当時の育種の在り方が伺える資料。
中央の図は稲刈りの図ではなく、選種の様子を描いたもの。描かれている人物はそれぞれザルのような容器とハサミを持ち、種子として残すための穂を選んでいる。右は「雌穂」の図。



Illustrirte Garten-Zeitung : Eine monatliche Zeitschrift für Gartenbau und Blumenzucht シュツットガルト 1857-
(挿画入り園芸新聞:造園と花卉栽培の月刊誌)

シュツットガルトの園芸協会が発行した園芸雑誌。植物の品種解説やカラー図版に加え、庭園についてもカラー図版入りで記述されている。


Medical botany, or, Illustrations and descriptions of the medicinal plants of the London, Edinburgh, and Dublin pharmacopœias, comprising a popular and scientific account of poisonous vegetables indigenous to Great Britain / James Morss Churchill & John Stephenson New ed. ロンドン 1834-1836 (薬用植物誌/ チャーチル&スティーブンソン) ギルバート・トーマス・バーネット編

イギリス土着の薬用植物について図示し解説した書。各植物ごとに、エングレーヴィングと手彩色で作成されたカラー図版、学名、薬効や利用法および植物学的解説からなるテキストで構成されている。カラー図版は植物画としても観賞価値が高い。
1831年刊の初版に2図を追加し、新版として刊行された。


『蔬菜苗床實況(そさいなえどこじっきょう)』 練木允緝著
明治22(1889)年

大原農書文庫(貴重資料)

東京近郊における蔬菜の促成栽培技術についての詳細な報告書。「農商務省」の用紙に4冊にわたって筆記されており、巻頭の緒言によれば、農書編纂掛にいた著者が田中議官の命に従って実地に調査したもの。「田中議官」は、当時農書編纂掛の長であった元老院議員田中芳男を指すと思われる。
品種ごとに各地域の技術を紹介し、栽培施設についての詳細な図(彩色図含む)を多数載せる。ガラスやビニールが普及する以前の、障子を用いた採光・保温など、幕末から明治にかけての「ハウス栽培」の様子が分かる貴重な資料。栽培施設の図だけでなく、植物の図も秀逸。


『Atlas der officinellen Pflanzen : Darstellung und Beschreibung der im Arzneibuche für das Deutsche Reich erwähnten Gewächse』 Bd.1-4 ライプチヒ 1893-1902
(薬用植物図譜:ドイツ帝国の薬局方に挙げられた植物に関する記述)

薬用として用いられる植物の図譜集。図版を手掛けたSchmidtは、ドイツで多くの植物画を描いた19世紀の画家。「特に賞賛される図版は、筆致と着色が美しいだけではなく科学的精度も高い。一般的な植物学者に役立つと同時に、薬用植物を学ぶ学生にとっても価値ある著作となるであろう。」(Science N.S. Vol.10 P.28 1899より)


『餘景作り庭の図(よけいつくりにわのず)』 菱川師宣 著
[大正8(1919)年復刻]

大原農書文庫(貴重資料)

浮世絵師 菱川師宣(?-1694)による作庭造園の絵本。全21図。様々なタイプの庭の作り方を解説しているが、図中には庭園でサクラやフジなど四季折々の植物を楽しむ人物が描かれており、作庭書であるとともに、庭園の楽しみ方の指南書といった趣も感じられる。
初版発行は延宝8(1680)年。初版の他に元禄版などがあり、本書は大正期に延宝版を復刻したもの。巻末に朱印および墨書で「印行三百部之内第 別六 號」とある。


『L'illustration horticole:Journal special des serres et des jardins』 ヘント 1854-1893 (挿画入り園芸雑誌:特別な温室と庭園の雑誌)

ベルギーの園芸家Ambroise Verschaffeltによって創刊された月刊園芸雑誌。新種や栽培品種の多色刷石版図版、植物・園芸の歴史や文化等の記事、新製品情報、主要な展示会や学会の報告などで構成されている。図版は当時の著名な植物画家や石版作家が手掛けている。


『神農本草経(しんのう ほんぞう きょう)』
魏 呉普等述, 清 孫星衍・孫馮翼同輯 清 嘉慶4年(1799)序 承徳 孫氏問経堂刊

大原漢籍文庫(貴重資料)

神農は中国古代の伝説上の皇帝で、農耕と医薬の祖とされる。
「神農本草経」は漢から三国の頃に成立したとされるが、現存せず撰者も不明。500年頃、当時の本草書に残る引用文をもとに、梁の陶弘景によってまとめられたとされる。365種の薬品を載せ中国本草書の祖型となったが、その原本もやはり早い時期に散逸した。

本書は清代の輯本(復元本)。蔵書印や巻頭の識語により、成都の顧印愚(清末・民初の詩人・書家)の旧蔵書と分かる。


Figures of the most beautiful, useful, and uncommon plants described in the Gardeners dictionary / Phillip Miller ロンドン 1760 (園芸事典収録植物図集 / フィリップ・ミラー)

ミラーの著作「Gardener’s dictionary(園芸事典)1731」に記載された植物のうち300種を図化した図譜集。エングレーヴィングによる彫版と手彩色で制作されている。内16枚は、植物画家として著名なゲオルグ・エイレット(1708-1770)の手によるもの。

フィリップ・ミラーは、チェルシー植物園の初代園長であり、当時のイギリス園芸界の中心的存在であった。


『草木性譜(そうもくせいふ)』 清原(舎人)重巨著、水谷豊文ほか画 尾張
製本書誌:永楽屋東四郎 文政10(1827)

大原農書文庫(貴重資料)

著者の清原(舎人)重巨は尾張の本草家。本書は著者が多年にわたり観察した草木45種についての図説である。
水谷豊文ら28名の尾張の本草家や画家が参加し、それぞれが草木1品以上を受け持って各植物に精緻な図を付している。本書と同様のスタイルで編集された『有毒草木図説』が同年に刊行されている。


『Handbook of the British flora』 by George Bentham Vol.1-2 ロンドン 1865 2nd ed. (英国植物誌便覧 / ジョージ・ベンサム)

当時のイギリスで見られる植物を掲載した著名なハンドブックで、著者の死後も繰り返し版を重ねた。掲載された図は、19世紀の代表的な植物画家ウォルター・フィッチによるもの。図版が付随しているのはこの第2版のみである。

著者のベンサムは、ドゥ・カンドルのもとで分類学の研鑽を積み、植物分類学の発展に多大な貢献をなした。ジョセフ・ダルトン・フッカーと共に発表した「ベンサム・フッカーの分類体系」で知られる。
フィッチは、若くして才能を見い出され、17歳のときから40年にわたって『ボタニカル・マガジン』に掲載する植物画を描いていた。後には石版の技術も習得し自らの画も製版するようになった。また、非常に多作な植物画家で、生涯に1万点近い作品を描いたとされている。


『Description des serres du Jardin Botanique de l'Université de Copenhague』by Jacobsen, Jacob C. ; Rothe, Tyge Jesper(Copenhague, 1879)

ペッファー文庫(貴重資料)

コペンハーゲン大学植物園及びその温室についての資料・解説書。
著者の1人ロザは当時ヨーロッパの各地で植物園の建設にかかわっていた造園家。一方のヤコブセンは、カールスバーグ・ビールの創業者である。この植物園および、鉄とガラスを多用した壮麗な温室は今も健在である。

本書にはロザからペッファーへの献辞がみられる。ペッファーは1884年当時、在籍していたチュービンゲン大学で温室の設計に携わっており、この温室の建設にあたってロザとも交流があったものと思われる。
献辞に登場するもう1人の人物、W. ヨハンセンは、後に「遺伝子=gene」という言葉を提唱した事で知られる植物学者で、一時期チュービンゲンのペッファーのもとでも学んでいた。


『日用助食竈の賑ひ(にちようじょしょくかまどのにぎわい)』
大蔵永常著 天保4(1833)年頃

大原農書文庫(貴重資料)

著者は江戸時代の三大農学者の一人で多くの農業技術書を著した。本書は飢饉への備えを説いた救荒書で、天保年間に相次いで出版された内の1冊。「きらず(おから)飯」「里芋飯」等々、米の節約のための各種の「かて飯」や粥の炊き方を紹介している。

図は「さつまいも飯」の調理風景。 人物の台詞(左から):ヲヤヲヤかはむくのぢゃないそうだよ/イエイエくさりばかりとれと申しつけました/ヲヤヲヤかハむくのぢゃござりませんか/とぎがまへめぢゃァぬかくさい 少し水にしろミあるくらいとハむづかしいかげんだ もふこれでよかろふ
本文には「薩摩芋の皮は剥かずに腐った部分のみを取り除き、米の砥ぎ加減は通常よりも早めにして、水に“白み”が残る程度にする」という意味の説明がある。


『豆腐百珍続編(とうふひゃくちんぞくへん)』
酔狂道人何必醇編 天明3(1783)年

大原農書文庫(貴重資料)

天明2(1782)年刊の『豆腐百珍』と体裁が同じで、「尋常品」~「絶品」までの6等品、100品目と、付録として38品の豆腐料理が追加されている。また巻末には「豆腐雑話」が付せられている。

左は江州目川(現在の滋賀県栗東市)の豆腐田楽を売る茶店を描いた図。目川は菜飯と田楽の名物で知られていた。
右は「新製豆腐縷切つきだしの図」。うどん豆腐をつくるのに用いる当時の新製品を紹介している。従来はところ天つき出し器を用いていた。


『Illustrations of British fungi (Hymenomycetes): To Serve as an Atlas to the "Handbook of British Fungi"』
by M. C. Cooke, Vol.1-8, 1881-1891, London

菌類のカラー図版1,200枚を所収。クックはこの本の執筆のためにイギリス中及び他国からも菌類を集め、その実物を観察し自らスケッチしていた。

クック(M. C. Cooke 1825-1914)はイギリスの植物学者、菌類学者。1880年から3年間、Kew Gardens(キュー王立植物園)に菌学者として勤め、世界中の植物や標本の分類にあたっていた。彼の標本のコレクションは約46,000点、図は25,000点におよび、これらは現在キュー王立植物園に保存されている。
著書は『Handbook of British Fungi(英国菌類ハンドブック)』(2. vol., London & New York, 1871, 2d.ed. 1883)、『Fungoid Pests of Cultivated Plants(栽培植物の菌性の病害虫)』(London, 1906)他多数。


『三都一朝(さんといっちょう)』
植木屋成田屋留次郎刊行 田崎草雲画 嘉永7(1854)年

大原農書文庫(貴重資料)

江戸時代から明治・大正時代にかけて流行した変化朝顔の、朝顔専門図譜集。多数の彩色木版画に、それぞれ花名・作者を記す。「三都」とは、江戸・大阪・京都を指す。